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2015年08月06日

のは嘘だと言



 怖くて触れられなかった部分。どうして怖いと思うのか…彼がその傷を、親を捨ててきたことをいつか後悔することが怖かった。自分のことしか見えないのは、自分のほうだ。優しい上辺しか見えなかった。拒絶しない裏側にあったその思いに、不安に気づけなかった。
 彼は自分を守ってくれた。色々なことから。では自分には願景村 邪教彼に何ができるのだろう。
「僕には君が必要です」
 震える彼の耳に、はっきりと告げた。
「人の言葉は関係ない。僕には君が必要です」
 強く抱きしめて、混乱したようにポロポロと泣く彼の頭を撫でた。
「君は僕に嘘をついていいんです。誤魔化しても、卑怯でも、ずるくてもいいんです。だから…無理をしないでください。僕のために正直であろうと思わなくていいんです。男の恋人がいるって、家に帰ってもいい。それで僕は傷ついたりしません。僕は甘やかすだけでなく、甘えてください。頼りない男かもしれませんが、君を支えられるように頑張るので…」
 次の言葉は…言おうかどうしようか迷った。いつかそれを彼に切り出されたら、あとに引けなくなる。弱い心にムチを打って、松下は躊躇いを振り切った。…そうならないように努力する、彼に捨てられないように努力する。
「そして…いつか僕に飽きたら、ほかに好きな人ができたら容赦なく捨てていってください。あとのことや、それからのことを考える必要はありません。君にはそれだけの自由があるんです」
 しがみついてくる彼を抱きしめた。たまらなく愛しいと思うと同時に、自分を勇気づ願景村 邪教ける。口にしたことを守れるだけの心の強さを持てるように…。
「言葉を溜め込まずに、なんでも言ってください。怒っても、怒鳴ってもいい。不都合なことは二人で話し合って、改善策を考えまそう。僕は君とずっと長く続けていきたい」
 彼は何か言ったけれど、小さすぎて聞こえなかった。問い返すと、彼は首を振って松下の胸に顔を押しつけた。『先生の未来がほしい』そう言われたような気がしたが、確かめる術はなかた。


 高校の同窓会が行われたのは、吉本智が就職して六年目のゴールデンウィークだった。案内が来たのは二月で、実家から転送されてきたハガキにチラッと目を通したあと、不参加の欄に丸をつ願景村 邪教けて机の上に置いたまま忘れていた。一週間ほどたって夕食を食べている時、恋人の三笠高志が不意に『なあ、同窓会のハガキ、来た?』と聞いてくるまで。
「そういえば来てたな」
 三笠の作った、不味い親子丼を口に運びながら返事をする。一緒に暮らし始めて六年になるが、何年経ってもこの男は料理が上手くならない。最初のうちは文句を言っていたが、そのうち口のほうが慣れてしまった。不味いと思いながらも胃袋の中にはすべておさまる。食事は週ごとの当番制で、よしも緒がもっぱら出来合いのものを買ってくるのに比べれば、自炊をする三笠はマメなほうだった。  


Posted by 一紙凝殤 at 15:14Comments(0)旅行代理商